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工場や下水処理施設、建設現場などで発生する「汚泥」。その多くは水分を大量に含んでおり、運搬や処分の面でさまざまな課題があります。この記事では、汚泥を効率よく処理するための「脱水処理」について、基本的な仕組みやメリット、代表的な脱水機の種類を紹介します。
汚泥とは、水中に含まれる微細な有機物や無機物が沈殿・凝集してできる、泥状の物質です。下水処理施設や工場排水、建設現場など、さまざまな場所で発生します。
汚泥の約98〜99%は水分で構成されており、含水率が高いほど体積が増えてしまいます。その結果、処理や運搬にかかるコストやスペースの負担が大きくなるのが課題です。
このような課題を解決するために行われるのが「脱水処理」です。汚泥から水分を取り除くことで体積を大幅に減らし、運搬コストや処分費、保管スペースといった負担を軽減することができます。
汚泥の水分を減らす処理は「濃縮」と「脱水」の2つがあります。
濃縮とは、汚泥の含水率を90〜95%程度まで下げること。含水率99%の汚泥を95%程度に濃縮するだけでも体積は約1/5になり、運搬などがしやすくなります。
脱水は汚泥の含水率を60〜85%程度まで下げること。泥状だった汚泥が塊状になり、さらに扱いやすくなります。こうして塊になった状態の汚泥は「脱水ケーキ」とも呼ばれます。
汚泥の脱水処理は、水分を取り除いて扱いやすくするだけの工程ではありません。処理効率の向上やコスト削減、さらには環境への配慮など、さまざまなメリットがあります。ここでは、脱水処理によって得られる主な利点をご紹介します。
汚泥は水分を多く含むため、そのままではかさばり、運搬や処分に多くのコストがかかります。たとえば、含水率99%の汚泥を90%以下に脱水すると、体積はおよそ5分の1〜15分の1にまで減らせます。
このように体積を大幅に減らすことで、運搬回数が少なくなり、処分費用の削減にもつながります。特に産業廃棄物処理のコストが高くなりがちな現場では、脱水処理による経済的メリットがより大きく感じられるでしょう。
水分の多い汚泥は、時間が経つと腐敗しやすく、悪臭の原因になります。脱水処理を施すことで、腐敗の進行が抑えられ、においの発生も軽減されます。
その結果、作業現場の衛生環境が整い、作業員にとっても快適で負担の少ない環境が実現できます。
脱水によって汚泥の体積が減ると、焼却や埋立処分に必要な燃料や電力の使用量も削減できます。これはCO₂排出量の抑制にもつながり、環境への負荷を軽くする効果があります。
さらに、運搬回数や移動距離が減ることで、車両からの排気ガスも抑えられます。脱水処理は、環境に配慮した取り組みのひとつといえるでしょう。
脱水処理によって得られる「脱水ケーキ」は、条件によっては再資源化が可能です。たとえば、有機質を含む汚泥であれば堆肥化されたり、建設資材の一部として活用されることもあります。
水分が減ることで安定性が増し、取り扱いや保管がしやすくなるため、「ただ廃棄する」だけでなく、「資源として活用する」という選択肢が生まれます。
汚泥の再利用方法のひとつとして、近年注目されているのが「肥料化」です。これは汚泥を廃棄物ではなく資源ととらえ、農業用肥料として活用する取り組みです。
汚泥には植物の生育に欠かせないリンや窒素といった栄養成分が豊富に含まれており、とくにリンは輸入依存度が高いため、国内で回収できる資源としての価値が見直されています。
肥料化には専用の処理工程が必要となるものの、焼却のように高温で燃やす必要がなく、エネルギーコストを抑えられるのが特長です。また、最終処分場への埋立が不要になれば、処分スペースの確保や管理負担も軽減できます。
汚泥脱水処理に使用される機械にはさまざまな種類があり、それぞれ構造や処理能力、対応できる汚泥の性質が異なります。ここでは、代表的な5つの脱水機のしくみと特徴をご紹介します。
汚泥を加圧室に圧入し、濾布(ろふ)を通して水分をしぼり出す仕組みです。圧力をかけることで、より多くの水分を効率的に取り除くことができ、含水率は60〜70%台まで下げることが可能です。脱水性能が高く、粒子の細かい汚泥にも適しているのが特徴です。
ただし、バッチ式で処理を行うため連続運転ができず、処理効率はやや劣ります。また、運転中は騒音や振動が発生しやすく、薬品の飛散による周囲への影響にも注意が必要です。
汚泥を濾布の上に供給して重力で水分を抜いた後、2枚の濾布で挟み込み、ローラーで圧縮してさらに脱水する仕組みです。連続処理が可能で処理スピードに優れており、操作性も高く自動運転に対応できます。
含水率は65〜85%程度で、加圧脱水機に比べるとやや高めですが、設備としては比較的扱いやすく、多くの現場で採用されています。一方で、構造が開放的なため臭気や湿気がこもりやすく、適切な環境対策が求められます。
汚泥を高速回転させ、遠心力によって水分と固形分を分離する方式です。濃度の低い汚泥にも対応でき、処理能力も安定しており、連続運転にも適しています。
含水率は65〜85%程度で、操作性が良く、凝集剤の投入量を自動制御することで無人運転も可能です。機器は密閉構造になっているため臭気の拡散が少なく、作業環境も良好です。
ただし、高速回転による振動や騒音には十分な配慮が必要です。
薄い円板を多数重ねたろ体の間を汚泥が通過し、回転による圧縮と毛細管現象を活用して水分を除去します。比較的新しい構造で、省スペースでの設置が可能なうえ、静音性に優れており、作業環境にもやさしい脱水機です。
含水率はやや高めで、汚泥の質によって処理性能が左右されやすい面もありますが、連続処理に対応しており、自動運転や遠隔操作も可能です。定期的なろ体の洗浄や保守が必要になりますが、総じて扱いやすい機種といえます。
回転する金属製の網を用いて、汚泥をろ過・濃縮する構造です。比較的簡易な方式で、含水率は90%前後と高めですが、初期の濃縮処理や仮設現場での使用に適しています。
構造がシンプルで補機も少なく、操作が簡単でメンテナンス性にも優れているため、熟練者でなくても扱いやすいのが魅力です。脱水機というよりは濃縮機に近い役割を担うことが多く、他の脱水機と併用して使われるケースもあります。