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こちらの記事では、バイオマス堆肥について紹介しています。原料や作り方、メリット・デメリットなどのほか、品質基準と関連法規などもまとめています。
「バイオマス」は、動植物などの生物由来で再生可能な有機性資源です。動植物が太陽エネルギーを使用して水と二酸化炭素から生成した有機物で、生命と太陽エネルギーがある限り持続的に再生できます。
また「堆肥」は、落ち葉や家畜ふん尿、食品残渣など動植物由来の有機物を微生物により分解・発酵させた有機資材です。肥料や土壌の改良剤として用いられています。
バイオマス堆肥とはバイオマスを原料として作られる堆肥を指します。バイオマス由来の堆肥や燃料を利用した場合、原料となった植物は成長過程で大気中のCO2を吸収します。そのため、利用する際に発生するCO2はもともと植物が大気から取り込んだものであることから、地球温暖化への新たな負荷が少ないといえます。
原料となるバイオマスの種類にはさまざまなものがあります。ここでは、家畜ふん尿・食品残渣・稲わらを例として、C/N比(炭素と窒素の割合)、水分量をまとめました。
| C/N 比 | 水分量 | |
|---|---|---|
| 家畜ふん尿 | 牛ふん:15〜25 豚ふん:10〜15 鶏ふん:6〜10 |
牛ふん:78〜86% 豚ふん:70〜75% 鶏ふん:40〜70% |
| 食品残渣 | 10〜25 | 80〜85% |
| 稲わら | 50〜70 | 8〜12% |
深さ30〜50cmの穴を掘って、コンポストを地中10〜15cmほど埋め込まれるように設置します。コンポスト容器の周りはしっかり土をかぶせて踏み固めます。
(※キャプション案)日当たりと風通し、水はけの良いところに設置します。
容器の底に雑草や落ち葉、もみ殻などを敷いた後に生ごみを投入します。同量の落ち葉・枯れ草も混ぜ込むと臭いが出にくく発酵を促せます。その上から生ごみより少ない量の土をかぶせて容器のふたを閉めます。
(※キャプション案)生ごみ以外のものや腐敗した生ごみは入れないようにしてください。
下処理済みの生ごみを投入するたび土をかき混ぜ、空気を取り込んで堆肥化を促します。水分量が多い場合は落ち葉や土を追加、乾燥していたら綺麗な水を入れます。
(※キャプション案)手で触って、中身が少し湿っているくらいがちょうど良い水分量です。
容器の中身がいっぱいになったら上に土・シートをかぶせて放置します。堆肥として熟成するまで期間を置きます(目安は夏場が1ヶ月、冬場は約2〜3ヶ月)。熟成期間中も半月に1回ほど切り返しを行います。
(※キャプション案)堆肥として熟成するまで期間が必要です。
堆肥の原料となる食品残渣や木質バイオマス、家畜ふん尿などを破砕・混合して発酵槽への投入を行います。
(※キャプション案)粒度や水分の調整を行い発酵槽に投入します。
前処理完了後、撹拌機のあるレーンに移されます。ここでは、撹拌機で混ぜ合わせながら乾燥を行い、好気性発酵を促していきます。
(※キャプション案)好気性発酵を促すことによって堆肥化の促進・悪臭の軽減などにも繋がります。
一次発酵後、レーンから出た未熟な堆肥を二次発酵により完熟させます。切り返しを行って堆肥をかき混ぜることで、内層に酸素を入れて好気性発酵を促進させることに加え、撹拌により低温域の発酵を促して発酵菌以外の雑菌を排除します。
(※キャプション案)切り返しの作業は何度も行います。
二次発酵が終了したら堆肥が完成します。ここで生産された堆肥は農作物の栽培などに使用する、プラントに戻し水分調整剤として使用するなどさまざまな形で活用されます。
(※キャプション案)完熟堆肥はパラパラとした土粒状になります。
発酵には、「好気性発酵」と「嫌気性発酵」の2種類があります。好気性発酵は空気を好む微生物による発酵ですが、空気がないと発酵を促してくれる微生物が死滅してしまうため定期的な撹拌が大切です。また嫌気性発酵とは、空気を遮断して無酸素状態で発酵を進める方法です。撹拌を行う必要はないものの、無酸素状態を作るのが難しい・雑菌や腐敗菌が増えやすいなどの面があります。
また堆肥化を行う際に使用される施設には、堆肥舎にて堆積する「堆積方式」と、攪拌の際に機械を使用する「攪拌方式」に分類されています。堆積方式の場合、切り返しはショベルローダーなどが用いられます。
バイオマス堆肥を活用する場合のメリットとデメリットについて、「環境面」「経済面」「農業生産面」という3つの観点からまとめました。
| メリット | 留意点・デメリット(課題) | |
|---|---|---|
| 環境面 | ・廃棄物の減量・資源循環に貢献 ・温室効果ガス削減につながる |
・不完全堆肥化による悪臭や環境汚染のリスク ・重金属や有害物質による土壌汚染防止のための管理 |
| 経済面 | ・廃棄物処理コスト削減と処理残渣の有効活用 ・堆肥販売や地産地消による地域経済の活性化 |
・初期設備投資や運用コストの発生 ・品質管理と市場ニーズに応じた安定供給体制の整備 |
| 農業生産面 | ・土壌の物理性改善(保水性・通気性の向上) ・有機物や栄養分(リン・窒素等)の供給 |
・不適切な使用による栄養バランスの偏り・土壌障害 ・施用効果が現れるまで時間がかかる |
化学肥料の場合は即効性が高く使いやすいという面がありますが、過剰に使用すると肥料やけなどのリスクがあるとされています。有機肥料は微生物の働きを促進するため、中長期的に土壌の状態改善が期待できます。化学肥料との併用によって効果が高まることが多くなっています。
バイオマス堆肥も有機肥料の一種ですが、廃棄物循環を促進できる面があります。また土壌に有機物の供給を行い保水性・通気性の改善が期待できますが、即効性が低いため計画的な利用が大切です。
コスト面においては、化学肥料は安価で即効性が見られます。たいしてバイオマス堆肥は製造・品質管理にコストがかかるものの、廃棄物の削減や持続可能な資源を利用するといった社会的な利益も得られるという面があります。
以上のように肥料はそれぞれに特徴やメリット・デメリットがありますので、用途や目的に応じた使い分けが重要といえます。
肥料に関する法律として、昭和25年に「肥料取締法」が制定されています。この法律は肥料の品質等を保全し、公正な取引と安全な施用の確保を目的として制定されたものですが、令和2年12月1日に改正され、「肥料の品質の確保等に関する法律」が施行されています。
「肥料の品質の確保等に関する法律」では、肥料の品質が一定水準より低下することを防ぐために制定された、肥料登録の最低条件である公定規格などが定められています。基本的には以下の4項目によって構成されています。
また、消費者が品質を判別するために必要な情報は保証票または「肥料の品質の確保等に関する法律に基づく表示」に記載し、個別の製品に添付することが義務付けられています。ここでは、生産業者保証票の一例をご紹介します。
<生産業者保証票の一例>
登録番号 生第○○○号
肥料の種類 化成肥料
肥料の名称 ○○○
保証成分量(%)
窒素全量 ○○
内アンモニア性窒素 ○○
りん酸全量 ○○
内可溶性りん酸 ○○
内水溶性りん酸 ○○
水溶性加里 ○○
原料の種類(窒素全量を保証又は含有する原料)
尿素
正味重量 20キログラム
生産した年月 令和4年6月
生産業者の氏名又は名称及び住所
○○肥料株式会社
東京都千代田区大手町○丁目○番○号
生産した事業場の名称及び所在地
○○肥料株式会社△△工場
東京都千代田区霞ヶ関○丁目○番○号
岩手県一関市大館町などと共に産官学協働にて地域循環型農業の推進する「飼料米プロジェクト」に取り組んでいます。プロジェクトでは休耕田や転作田の活用により、自社の豚に給与する飼料米を生産。その際、自社から発生する豚ふんの堆肥化を行い、発酵豚ふん堆肥として活用しています。
町が畜産バイオガスプラントを整備しており、メタン発酵の副産物として生成されるバイオ液肥として供給し、元肥として土づくりに活用しています。また土壌分析の上で農家ごとのオリジナル肥料を製造し、活用するといった取り組みを行うことで、収量を維持しつつ化学肥料の使用量低減を実現しています。
株式会社秋川牧園では、自社農場にて発生する畜ふんについて自社の堆肥施設にて堆肥化を行っています。その堆肥を使用することで化学肥料の使用量が低減した点に加え、県内外の有機栽培農家への供給による支援にもつなげています。
農水省や都道府県の支援制度はさまざまなものがあります。ここでは、その中からいくつかの支援制度をご紹介します。
みどりの⾷料システム戦略の実現に向け、地域のバイオマスを活⽤したエネルギー地産地消の実現に向けた調査・施設整備を⽀援。さらにバイオ液肥の地域内利⽤を進めるため、液肥散布⾞の導入やバイオ液肥の散布実証のための取組を⽀援します。
国内肥料資源活用総合推進支援(肥料の試作、栽培実証、機械導入等)を目的としたものです。応募方法は、申請者及び取組内容によって異なります。
堆肥の流通を促進し、堆肥利用農家の割合を高めて資源循環型農業を推進するため、町内肥育農家が製造した家畜ふん堆肥の購入費の一部を補助する制度。「町内で耕作をしている」「農業で収入を得ている」「町税を滞納していない」に当てはまる人が対象で、対象経費は令和7年4月1日から令和8年3月13日までに購入した「町内肥育農家が製造した家畜ふん堆肥」の購入費(配送料を含む)です。
小規模土地改良や圃場の基盤整備等に対し、予算の範囲内で補助金を交付するものです。令和7年度は農産物堆肥場(集積場)に要する経費の補助上限額が引き上げられています。
A.堆肥の投入量には限度があります。初めて堆肥を施用する畑なら、1㎡あたり5kg程度まで、毎年堆肥を施用している畑なら1年間に1㎡あたり2kg程までが目安となります。多く入れすぎると養分の偏りなどによって生育を損ねる場合があります。
A.未熟な堆肥を施用すると、土壌中の窒素不足や病害虫の発生につながる可能性があるため、完熟堆肥を使用することが大切です。
A.完熟の堆肥は害虫が湧きにくい点からも、完熟したものを使用することが大切です。
A.堆肥の散布後は可能な限りその日のうちに耕うんして、堆肥と土を混ぜ合わせることが推奨されます。このことで臭いの拡散を防ぐとともに堆肥の分解を促進できます。
A.防水シートで覆い、雨風にさらされないようにしてください。堆肥舎がある場合にはそこに保管することが望ましいといえます。
A.施用時期は作物や堆肥の種類により異なりますが、一般的には播種や定植の前に施用して土とよく混ぜ合わせておきます。また散布時には、周辺へ飛散しないよう風向きに注意してください。
A.堆肥に含まれる炭素(C)と窒素(N)の割合です。C/N比が低いほど分解が進んだ完熟堆肥という点を表しています。
A.堆肥は未熟な堆肥ほど臭いが強くなります。可能な限り完熟堆肥を使用し、散布した後は速やかに耕うんすることで臭いが広がりを防げます。
A.水分が多ければ基材を追加、少ない場合には水を加えた後に底から50回ほど混ぜて、十分に空気を混ぜ込むようにしてください。
A.2日ほどであればそのままでも問題ありませんが、3日以上家を空ける場合には、家を空ける1週間前ほど前から生ごみを入れるのをやめて毎日よくまぜた上で、物置や雨が当たらない場所に置いてください。帰宅後にまた生ごみを入れて混ぜていると分解が始まり、堆肥づくりを続けられます。
当メディアでは汚泥の肥料化に関して中部エコテック監修のもと詳しく解説をしています。ぜひ参考にしてください。