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下水汚泥資源の肥料利用に関する検討事例集

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下水汚泥の資源化・肥料化については、すでに全国各都市で取り組みが行われています。ここでは、国土交通省がまとめた「下水汚泥資源の肥料利用に関する検討事例集」をもとに、実際の事例をご紹介します。

下水汚泥の肥料化を検討する意義と背景

近年、下水汚泥の肥料化が注目されている背景としては、化学肥料の価格高騰による農業経営の負担増などさまざまなものが挙げられています。肥料原料はその多くを輸入に依存してきましたが、2021年以降輸入価格は原油や天然ガスの価格が上昇することなどによって不安定な状況となっています。これらの点から、国際市況や輸入動向による影響を受けにくい生産体制づくりが求められており、下水汚泥の肥料に注目が集まっています。

また、持続可能な食料システムを確立するという観点から、下水汚泥を肥料として活用することは、上記のように輸入への依存度が高い肥料原料の価格が不安定であることから有意義であると考えられています。このような点から、下水汚泥資源の肥料利用への拡大が検討されています。

肥料化の検討フローと基本ステップ

下水汚泥資源の肥料化を検討する上では、さまざまなステップを踏む必要があります。基本となる検討フローは下記の通りとされていますので、それぞれのステップについて簡単に解説します。

  • 基礎調査・下水汚泥の分析
    下水汚泥資源の肥料利用を検討する場合には、まずは下水処理場と周辺地域の特性について整理を行った上で地域における連携体制の構築を行い、潜在的な肥料需要の把握を行う必要があります。さらに、必要な分析を行い、下水汚泥を汚泥肥料として使用することの可否について判断を行います。
  • 肥料化実施可能性の検討
    肥料化を行う手法や外部委託に関する検討、関係者へのヒアリング・流通経路の検討を行い、栽培試験を実施した上で実現可能性について検討を行います。
  • 事業規模等の検討
    下水汚泥の肥料化を行う場合には、当面の肥料生産量や肥料化の実施スキームの検討を行います。また下水汚泥の肥料利用を計画するにあたっては、他の下水道関連計画との策定内容の調整や整合を図り、関連計画へ適宜反映していきます。
  • 肥料登録
    下衆汚泥等を原料とする肥料を流通・販売するには、肥料法に従って肥料登録を行う必要があります。また、登録を行うにあたり、肥料の品質管理のための検査計画を定めることが推奨されています。
  • 肥料の製造・流通に係る取り組み
    下水汚泥を原料とする肥料の安全性を確保するためにも、下水道法に基づく特定事業場の監視・指導や、肥料・肥料原料について定期的な分析を実施します。また、分析結果の報告や記録の保存を行います。さらに、肥料登録事項や品質管理計画に変更が発生した場合には、必要な手続きを取るなどの取り組みも必要となります。
  • 流通の拡大に向けた継続的な取り組み
    品質管理計画または検査計画に基づいた分析結果をホームページなどで公表する、肥料利用者に対するPR等を行うなど、流通の拡大に向け継続的な取り組みを行っていきます。

下水汚泥のコンポスト化に向けて検証を開始

北海道旭川市では現在、下水汚泥を焼却処分またはセメント原料として再利用していますが、コンポスト化や焼却灰の肥料化をしたいと考えています。市農政部やJA、上川農業改良普及センター、市農業センター、上川農業試験場など関係者と意見交換を行い、業務範囲とスケジュールを確認。2025年も引き続き、コンポストの試作や、肥育試験の実施、植害試験などを行っていく予定です。

参照元:国土交通省 (https://www.mlit.go.jp/mizukokudo/sewerage/content/001737823.pdf)

アンケート結果をもとにニーズを把握

秋田県では、臨海の汚泥の多くを焼却処分しています。しかし、一部は民間事業者がコンポスト化し、水稲や大根等の栽培に利用しています。

汚泥肥料化に向けては県南部の横手処理センター内にコンポスト施設を建設中(R7供用開始予定)ですが、一方で「下水汚泥肥料のニーズがわからない」「下水汚泥に対するマイナスイメージ」といった点を課題に感じていました。そこで、民間の肥料メーカーやJA全農に対してアンケートを実施。得られた結果をもとに、理解促進のための勉強会開催や概略スキームの検討などを行うとしています。

参照元:国土交通省 (https://www.mlit.go.jp/mizukokudo/sewerage/content/001737823.pdf)

汚泥堆肥への理解促進を図る

茨城県猿島郡の「さしまアクアステーション」では2021年から肥料化試作機を導入し、肥料の試作製造や成分分析を行っています。2024年9月からはコンポスト化施設を本格稼働。並行して肥料登録の完了、肥料配布なども進めています。 一方で、県内における「下水汚泥肥料」の需要や、関心を持つ農家についての情報が不足しているため、市町村の下水・農政部局に加え、農業法人と意見交換を行い、理解促進に向けた取り組みを行っています。

参照元:国土交通省 (https://www.mlit.go.jp/mizukokudo/sewerage/content/001737823.pdf)

都から全国へ、下水再生リンを普及

東京都では、下水汚泥から農業用肥料になる物質「リン」を収集し、再利用する取り組みを行っています。限りある埋立処分場の延命化や、東京湾の赤潮発生の原因となるリン削減が目的です。区部5施設、流域7施設に設置されたリン回収システムで、効率的にリンを回収する仕組み。民間会社と協力して肥料化を進めることで、年間約70トンのリンの回収を見込んでいます。下水再生リンは都内での活用だけでなく全国に展開予定。肥料の国産化と農業者への安定供給を目指しています。

参照元:国土交通省 (https://www.mlit.go.jp/mizukokudo/sewerage/content/001737823.pdf)

肥料化技術の種類と特徴

下水汚泥資源の肥料利用は、主に「コンポスト化」と「リン回収」という2種類の方法で行われています。

コンポスト化は、汚泥等の有機物を空気と触れさせた状態で発酵させることであり、この方法によって肥料として使いやすくすることができます。また、リン回収は肥料成分であるリンを下水汚泥から効率的に回収する方法です。現在は複数の利用・処分のひとつとして肥料利用を実施する処理場が多くなっており、全ての汚泥発生量に対して肥料としての利用は1割にとどまっている状況です。

コンポスト化における課題としては、下水汚泥の重金属含有リスク、下水道に対するネガティブなイメージなどに加え、散布・施肥方法に関するノウハウ不足による流通経路の確保などが挙げられています。また、リン回収では消化汚泥や焼却灰から回収するなどの方法が用いられているものの、リン回収施設のコストが高いといった課題があります。

参照元:国土交通省|上下水道 (https://www.mlit.go.jp/mizukokudo/sewerage/mizukokudo_sewerage_tk_000555.html)

肥料化の課題と今後の展望

各自治体でさまざまな取り組みが行われていますが、今後下水汚泥肥料の普及拡大を目指すには、さまざまな課題を解決する必要があるとされています。例えば農家など最終需要の確保や、汚泥由来というマイナスイメージの払拭法整備や品質基準への対応、コスト負担の分担といった点などが挙げられます。

政府では、2030年までに下水汚泥の費用利用料を倍増させる点を目標として掲げています。そのためにも、不安なく活用できる下水汚泥資源の供給の促進や、肥料に対する農業者や消費者への理解促進・PR手法の工夫、試験栽培・栽培指導等による叡王技術の確立と普及促進といったように、さまざまな取り組みが必要であるといえます。

認知度拡大に向けてPR手法を検討

兵庫県神戸市では、すでに東灘処理場においてりん回収を実施、市内で販売しています。今後は玉津処理場においてもりん回収設備を建設し、りん回収量を増やす予定です。 その一方で、まだまだ「下水汚泥」に対するマイナスイメージは存在すると感じており、より効果的なPR方法を模索。アンケート結果に基づき、新たな PR手法や販路の開拓を検討したいとしています。

参照元:国土交通省 (https://www.mlit.go.jp/mizukokudo/sewerage/content/001737823.pdf)

付加価値が高い高スラグ肥料を開発

北九州市上下水道局は小倉北区の日明浄化センターで出た汚泥を燃料として再利用していましたが、2023年から市内の企業と共同で肥料化のための開発を進めてきました。目指すのは、付加価値の高いスラグ肥料の開発です。アンケート結果から、高付加価値スラグ肥料のニーズはあるものの、形状や肥効成分に関する知見が不足していることが判明したため、肥料に関する研究を進めるとともに理解促進PRも継続して行っています。

参照元:国土交通省 (https://www.mlit.go.jp/mizukokudo/sewerage/content/001737823.pdf)

農業者との対話を重ねながら全量堆肥化をめざす

埼玉県では、荒川上流水循環センター、市野川水循環センター、小山川水循環センターの3施設を対象に、下水汚泥の全量コンポスト化を目指した取り組みを進めています。現在は脱水汚泥を場外搬出し、焼却・セメント原料として再利用していますが、令和4年度から堆肥化への転換に向けた試験製造を開始。元荒川水循環センターに試作試験機を設置し、農業法人やJAと連携した見学会や意見交換を実施しています。

農家への安全性の理解促進にも注力しており、民間製造の汚泥コンポストを県が買い上げ、希望者に無償配布する取り組みを展開。肥効成分や重金属の成分分析を行いながら、農家からの反応や要望を丁寧に吸い上げています。

令和5年度には、JA各団体・農業技術研究機関・農林部との意見交換や現場見学を重ね、ニーズや課題を共有。今後は、成分データの蓄積や販路の拡大を図りつつ、2028年度の堆肥生産開始を目標に、地域ぐるみでの堆肥化体制の構築を目指しています。

参照元:国土交通省 (https://www.mlit.go.jp/mizukokudo/sewerage/content/001737823.pdf)

モニター農家と連携し、令和8年度の施設稼働に向けた体制づくり

千葉県木更津市では、木更津下水処理場から排出される脱水汚泥(約1,780トン/年)を、令和8年度を目標に全量コンポスト化する計画を進めています。令和4年度には処分方法の検討を行い、堆肥化が最善策と判断。今後はDBO方式による事業化を見据え、堆肥化施設を処理場内に整備予定です。

肥料利用に向けた準備として、JA木更津市や農業団体と意見交換を実施し、農業者の関心や需要の把握を進めています。市農林水産課からの紹介により、試験協力者の圃場を確保。購入した汚泥コンポストを用いて、稲作や畑作での栽培試験を令和6年3月より開始しました。また、モニター農家の募集やアンケート作成などを通じて、市民との連携体制も強化しています。

今後は、成分分析や重金属の検査を継続しながら、流通先の分散確保や引き渡し方法の検討を進める予定です。果樹への利用については慎重に判断しつつ、剪定枝の堆肥化とあわせて循環型農業への展開を模索しています。

参照元:国土交通省 (https://www.mlit.go.jp/mizukokudo/sewerage/content/001737823.pdf)

当メディアでは、実際にコンポを導入し、汚泥の肥料化から販売までを手がける企業にインタビューを行いました。導入を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。

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メディア監修
中部エコテック株式会社

中部エコテック株式会社は、循環型社会の実現を目指す環境ソリューションを提供する企業。汚泥の肥料化やエネルギー化技術をはじめ、有機性廃棄物・産業廃棄物を有効活用に関するサービスを提供しています。高度な技術力と豊富な実績を基に、国土交通省の「B-DASHプロジェクト」に参画し、自治体や地域社会と連携し、持続可能な未来づくりを支援しています。開発したコンポの納入実績は4,000台以上(2024年12月時点)にのぼります。

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