有機汚泥とは

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こちらの記事では、有機汚泥について紹介しています。どこで発生するものなのか、処理・資源化を阻む課題と解決策に加え、有機汚泥に関連する将来の展望なども解説しています。

有機汚泥とは何か?

汚泥のうち「有機汚泥」は動植物性の有機物を多く含むもので、下水処理場や食品工場、動物の飼育場などにおける処理過程で発生する汚泥を指します。有機汚泥は適切な処理により再度資源として活用できる可能性がありますが、含まれる成分により処理方法が異なる点に注意が必要です。

有機汚泥はどこで発生する?

下水処理で生じる汚泥の特徴

都市部や地域にある下水処理施設でも汚泥が発生します。ここで発生する汚泥は、生活排水や産業排水、雨水などが主な発生源です。さらに、下水処理により生じる汚泥は再利用に関する取り組みが進められており、土壌改良などを目的とした堆肥原料や路盤材などに活用されています。

工場・産業排水由来の汚泥とは

工場や産業施設からも汚泥が発生します。このような汚泥には、化学物質や重金属といった有害成分が含まれているケースが多いため、適切な処理を行う必要があります。処理を怠った場合には環境汚染を引き起こす可能性があることから、法的な規制に基づく処理が求められます。

食品製造で出る有機質汚泥の実態

食品製造の過程でも有機質汚泥が発生します。このような汚泥は生物分解性が高い有機物を多く含んでいる点が特徴となっているため、一般的に有機肥料や堆肥などとして再度活用されています。ただし、十分な衛生管理が必要となります。

畜産排水汚泥が抱える課題

畜産業で行う汚泥処理のうち、豚舎ふん尿汚泥は環境面における課題のひとつです。窒素やリンなどの有機物が多く含まれており、適切な処理によって有機肥料としての活用が可能ですが、病原性微生物や悪臭の発生などのリスクもある点に加え、土壌や地下水の汚染につながるため、適切な処理を行うことが重要です。

処理・資源化を阻む課題と解決策

高コスト・高エネルギーを抑える技術革新

有機汚泥の処理では、脱水や乾燥、焼却などに大きなエネルギーを必要とするため、コストが高くなる点が課題といえますが、近年はさまざまな技術が開発されています。例えば酵素循環式排水処理や、高効率でメタン発酵を行う技術など、技術革新により処理にかかるコストと環境への負荷軽減が期待されています。

有害物質リスクを低減する管理手法

有害物質を含む汚泥が放出された場合、水質や土壌の汚染、生態系への影響、人間の健康への影響などが生じる可能性が考えられます。この点から、汚泥は適切な管理・処理が求められます。

住民合意と社会的受容性を高める施策

汚泥を処理する施設の近隣住民に対し、環境への影響や臭気への懸念に対応するため、説明会の開催などを行って合意を得ることが大切です。情報公開や地域との対話を行い、社会的な需要性を高めていく施策についても検討が必要です。

有機汚泥に関する政策・規制の最新動向を押さえる

日本の下水汚泥リサイクル指針と改訂ポイント

現在バイオマスの利用拡大によって、化石資源由来の製品などをバイオマス由来のものに代替していくことが期待されており、2030年には発生汚泥の約85%が利用されることを目指しています。

さらに、下水汚泥のバイオマス有効利用としてエネルギーとしての利用に加え、緑農地利用への期待が高まっており、汚泥中の有機物をエネルギー・緑農地利用した割合を示す「下水道バイオマスリサイクル率」が新規指針として追加されています。こちらの指針では、既存の資源循環システムに配慮しつつ、需要見込みや事業運営の効率性・経済性、地域の実情に応じたバイオガス等の高度エネルギー利用などの推進により、2030年には有機物のおよそ50%の利用を目標としています。

参照元:農林水産省バイオマス活用推進基本計画(第3次)
https://www.maff.go.jp/j/press/kanbo/bio_g/attach/pdf/220906-2.pdf

EU・米国の規制比較から学ぶ教訓

EUや米国では、有機汚泥の再利用に関し厳格な基準を設けています。資源の循環を促進しながら汚染防止に関する基準を設けることは、持続可能な循環経済の構築にあたって重要なポイントです。しかし、古い物質に限定されてしまうと新たな汚染リスクを見逃す可能性があることから、重金属のほか医薬品や不溶性マイクロプラスチックなど新たな汚染物質への規制拡大と監視体制の強化が必要であるといえます。

カーボンニュートラル政策との整合と補助制度

政府では、2050年までにカーボンニュートラルを目指すことを宣言しており、下水道の分野でもカーボンニュートラルへの貢献が期待されています、下水道分野では、約530万t-CO2(2019年度実績)の温室効果ガスが排出されていますが、下水汚泥が持つ有機物のエネルギーを全て熱量に換算した場合、約120 億kWh(下水処理場の年間電力消費量の約1.6倍にも相当)にのぼるなど、脱炭素社会に貢献する可能性があると考えられています。

上記に伴い、さまざまな下水道における脱炭素関連の支援策も整備されており、環境負荷の低減と資源環境の両立を目指す取り組みが活発化しています。

参照元:国土交通省|上下水道(https://www.mlit.go.jp/mizukokudo/sewerage/crd_sewerage_tk_000124.html)

サーキュラーエコノミー時代の有機汚泥の将来展望

高温高圧処理(HTC)など革新的技術の可能性

高音高圧処理は、汚泥処理を行う際に高い温度・圧力での処理を行い、汚泥に含まれる水分を蒸発させる、においの原因を取り除くという処理です。また熱と圧力をかけることで有機物が分解され汚泥が炭化し、汚泥の体積が減少して処分コストの削減にもつながります。処理された後の残りかす(固体残渣)は、肥料やエネルギー資源として再度利用されることもありますし、処理過程で発生するバイオガスはエネルギーとして活用されるため、環境への負担を軽減しつつ資源としての再利用が進められています。

このような高音高圧処理をサーキュラーエコノミー(循環経済)に組み込むことによって、汚泥問題の解決とともに資源循環型社会の構築につながることが期待されます。

BECCSによるネガティブエミッション創出

BECCSとは、バイオマスの燃焼で発生したCO2を回収・貯留する技術です。このBECCSと有機汚泥由来のバイオガスの活用により、CO2の排出を実質ゼロに以下にする「ネガティブエミッション」の実現可能性が注目されています。

地域循環共生圏モデルで描く社会実装シナリオ

地域循環共生圏とは、日本が目指す持続的な社会の姿です。地域が持つ社会資源や自然資源を活用しながら持続可能な社会を目指す取り組みを指しており、「再生可能エネルギーの活用」や「循環資源の活用」、「自然資源の活用など」、地域循環共生圏を構築する取り組みにはさまざまな方法があります。

現在、全国各地にて地域循環共生圏の考え方に基づく地域づくりが進められており、持続可能な地域社会の形成に向けた実装が期待されています。