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汚泥肥料の安全性を確保するために大切なのが、汚泥肥料に含まれる成分や重金属を測定することです。ここでは、国土交通省が行った下水汚泥資源の重金属・肥料成分分析について解説します。
下水汚泥には、リンや窒素などの有益な成分だけでなく、カドミウムや水銀などの有害な重金属が含まれている可能性があります。このため汚泥を肥料化する際には、きちんと成分分析を行い安全性を確保しなくてはなりません。
日本では、国や地方自治体が連携して定期的に下水処理場の水質検査、重金属・有害物質の含有量測定などを行っています。特に工場排水の監視は厳格で、排水基準を超えた場合は、排水停止命令や罰則などが適用されています。汚泥肥料に関しても、基準値を超える濃度の有害重金属を含む製品は販売することができません。
下水汚泥を採取した後に行う主な前処理には、「脱水」「乾燥」「粉砕」「ふるい分け」がありますが、これらの処理は正しい分析値を得るためにも重要な作業であるといえます。
採取された汚泥試料はまず乾燥によって水分を除去します。特に水分量が多い場合には、乾燥を行う前にシート上で予備行ってから乾燥を行います。乾燥後の試料は均一に粉砕されますが、もし乾燥や粉砕が不十分だったりすると均一な粉砕が行われないため、大きな粒度のものが残ることがあります。このような状態の場合均一な試料とならず、分析のたびに得られる値が異なるなど正確な分析値が得られないため、適切な重金属管理が難しくなります。このような点から、下水汚泥の分析を行う際の試料調製は非常に重要であるといえます。
国土交通省では、下水汚泥資源の肥料化を進めるため、令和5年から6年1月にかけて計4回、全国108の下水処理場の下水汚泥を対象に成分分析調査を行いました。
調査の対象となった汚泥は以下のとおりです。
試料を乾燥処理した上で、肥料成分3項目(窒素、りん酸全量、カリウム)及び重金属有害成分6項目(ヒ素、カドミウム、ニッケル、クロム、水銀、鉛)について成分分析を実施。燃焼灰(焼却灰)については、く溶性りん酸についても分析を行いました。
物質中の元素を分析するために用いられる手法として酸分解法やICP、XRF、溶出試験などがあり、分析の目的に応じて使い分けられます。これらの手法には下記のような違いがあります。
分析結果によると、成分は年間を通してほぼ同じで、3~8%のリン酸、5〜8%の窒素が含まれていることが判明。一方でカリウムは、0.2~0.4%前後とほとんど含まれないことがわかりました。 ヒ素やカドミウムなどの重金属は、全調査処理場のうち約95%で肥料法に定める基準値以下であることを確認。燃焼灰についても、全調査処理場のうち約75%で基準値以下でした。具体的な数値は、以下のとおりです。
汚泥を肥料として利用する場合、法律による定められている重金属の含有量上限値を遵守する必要があります。規制されている成分としては、ひ素やカドミウム、水銀、ニッケル、クロム、鉛があります。また、処理後の最終製品が地下水などに有害な物質を溶出させないことを確認する試験(溶出試験)をクリアすることが必要であることに加え、窒素やリン酸、カリウムなどの成分バランスも品質基準として重要な点といえます。
さらに、汚泥肥料活用に向けたリスク管理においては社会的に受容されることも必要といえます。そのためにも、第三者機関による品質検査の公開や定期的な安全評価を実施することや、わかりやすい形で情報公開し、消費者が自ら確認できる環境を整えることが重要であるといえます。
脱水汚泥にはリン酸や窒素が多く含まれている一方、カリウムはほとんど含まれないため、他の肥料と混合可能である「菌体りん酸肥料」の規格に登録し、カリウムを補う肥料と混合するのがおすすめです。
重金属については基準値を下回る場合がほとんどであり、年間を通して数値に変動も見られませんでした。しかし、中には特定の重金属について高い値が出る場合もあるため、引き続き観測を行ってデータを蓄積し、肥料原料としての性質を把握することが大切です。
当メディアでは汚泥の肥料化に関して中部エコテック監修のもと詳しく解説をしています。ぜひ参考にしてください。
中部エコテック株式会社は、循環型社会の実現を目指す環境ソリューションを提供する企業。汚泥の肥料化やエネルギー化技術をはじめ、有機性廃棄物・産業廃棄物を有効活用に関するサービスを提供しています。高度な技術力と豊富な実績を基に、国土交通省の「B-DASHプロジェクト」に参画し、自治体や地域社会と連携し、持続可能な未来づくりを支援しています。開発したコンポの納入実績は4,000台以上(2024年12月時点)にのぼります。