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下水汚泥は、適切に処理することで肥料として活用することができます。ここでは、下水汚泥を肥料化するメリットとデメリットについて解説します。
大きなメリットが、これまで産業廃棄物として処分されていた汚泥を有効活用できることです。
環境省の調査によると、令和5年度の産業廃棄物の総排出量は3億7,021万トン*で、そのうち汚泥が1億5,565万トン。全体の実に42%を占めています*。しかも汚泥の代表格である下水汚泥は、これまであまり活用されていませんでした。
肥料化することで、焼却処分の際に排出していたCO₂を削減することができます。また、埋め立てのための用地を減らし、環境負荷を軽減することが可能です。
日本ではこれまで、肥料に欠かせない成分であるリンを輸入に頼っていました。しかしリンは限られた地域でしか産出されない上、埋蔵量が限られています。近年は国際的に価格も高騰しており、コスト増加も課題です。
しかし下水汚泥からリンを回収できれば、国際的な価格高騰の影響を受けることなくリンを確保することが可能です。高額な費用がかかっていた焼却・埋め立て処分代を軽減できる上、再利用によって作られた肥料を販売できれば、収益を得ることもできるでしょう。
地域の処理場で生産された肥料を地元農家で活用する「地産地消」を実現できる上、低コストで栄養価の高い野菜・果物を生産することができます。地域経済の活性化や、持続可能な農業の実現にも貢献することができるでしょう。
実際に、北海道の岩見沢市や十勝郡では、下水汚泥を活用した農業プロジェクトが推進されています。
下水汚泥にはリンや窒素などの栄養分や微生物が多く含まれています。ミネラルも豊富なため、肥料として使用することで、土壌の中の病原菌を抑制したり、病害を防いだりすることが期待できます。また、土壌の通気性や保水性向上や、重粘土の改良効果にも期待ができます。特に、病害菌の密度が高くなって発生する連作障害には効果的だと言われています。
下水汚泥を肥料化するためには、コンポスト施設や低温炭化システム、電熱スクリュー式炭化炉、蒸気乾燥システム、脱水乾燥システムさまざまな設備が必要です。このため設備を導入する初期費用がかかります。
ただし、現在焼却処分や埋立処分にかけている費用と得られる利益・効果を考えれば、メリットのほうが大きいでしょう。「下水汚泥肥料化推進事業」や「下水汚泥資源の肥料利用に関する大規模案件形成支援事業」などの補助金制度があるので、ぜひチェックしてみてください。
下水汚泥から回収できる成分は、排水の種類や処理方法などによって異なります。このため肥料化する際は、処理方法を統一して品質の安定化を図ること、汚泥肥料の成分分析を定期的に行って適切な肥料設計を行うことなどが大切です。
下水汚泥にはたくさんの栄養がある一方で、鉛やカドミウムや水銀などの重金属・有害物質が混入している場合があります。これらの重金属や化学物質は健康に被害を及ぼす恐れがあるため、肥料化する際は主成分や有害成分の分析を行い、基準を下回るように製造しなければなりません。
下水汚泥を肥料化することには、環境負荷の軽減、経済的メリット、地域社会への貢献、そして農業技術の向上といった多くの利点があります。これまで産業廃棄物として処分されていた汚泥を有効活用することで、CO₂排出量の削減や埋め立て用地の節約につながるだけでなく、リンの回収による肥料の安定供給も可能になります。さらに、地域農業の活性化や、土壌改良効果を通じて持続可能な農業の推進にも寄与するでしょう。
一方で、初期投資のコストや成分の安定性の確保、法的な規制といった課題も存在します。これらをクリアするためには、適切な技術導入や品質管理が不可欠です。
当記事では、下水汚泥の肥料化のメリット・デメリットについて解説しましたが、さらに詳しい技術や実際の活用事例については、中部エコテック株式会社の監修のもと、より専門的な視点から解説しています。具体的な処理技術や安全性確保のための対策など、実践的な情報を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
中部エコテック株式会社は、循環型社会の実現を目指す環境ソリューションを提供する企業。汚泥の肥料化やエネルギー化技術をはじめ、有機性廃棄物・産業廃棄物を有効活用に関するサービスを提供しています。高度な技術力と豊富な実績を基に、国土交通省の「B-DASHプロジェクト」に参画し、自治体や地域社会と連携し、持続可能な未来づくりを支援しています。開発したコンポの納入実績は4,000台以上(2024年12月時点)にのぼります。